心疾患患者に降圧作用のあるβ遮断薬やACE阻害薬の投与指示が出たのはなぜ?

心疾患患者に降圧作用のあるβ遮断薬やACE阻害薬の投与指示が出たのはなぜ?

ここでは心疾患の例として、
心筋梗塞の患者を想定して考えていきましょう。

 

事例

ST上昇型の心筋梗塞でPCI治療を行った患者、
いつも通り起床時に検温を行ったところ、
血圧が90/58mmHGと低めでした。
医師からは食後に降圧薬の内服指示が出ていましたが、
「血圧が若干低めですが、内服はどうしましょうか?」
と確認しました。しかし医師からは「いつも通りで」との指示でした。

 

「昨日と比べると少し血圧が低いのに、
さらに薬で血圧を下げるなんて」
と看護師は心配になったのでしょう。

 

押えておこう医師指示の根拠はこれ!

このケースで看護師は、測定したバイタルサインを
適切に把握して、医師へ報告しました。

 

これは間違った判断・行動ではないと考えられます。

 

しかし投与される薬には、おもに知られている作用のほかに、
諸研究から得らている効果、
効能(エビデンス)があることも知っておくと、
よりよい治療につながることがあります。

 

ここでは「血圧が低めな時、降圧薬であるβ遮断薬や
ACEを内服させるべきか」ということでしたが、

 

β遮断薬やACE阻害薬は、
実は心筋梗塞の予後を改善させるために大きな役割を果たす
薬剤でもあることが広く知られています。

 

心筋梗塞2次予防に関するガイドラインにも、
これらの薬が二次的合併症を防ぐための薬物療法の一つとして、
高いエビデンスレベルで記載されています。
β遮断薬やACE阻害薬の目的は、降圧だけではないのですね。

 

根拠を知るために必須な知識はこれ!

心筋梗塞は、冠動脈の血流が途絶え、
心筋(細胞)そのものに酸素が供給されないことで、
ダメージが起こり、心収縮力が低下する病態です。

 

一度このようなダメージを受けると、
心筋細胞は不可逆的な反応を示す特徴
があるため、
可及的速やかに再灌流療(PCIなど)
を行うことが求められます。

 

しかし、早期に適切な治療的介入がなされた後も、
心筋のダメージによる二次的合併症に注意していく必要があります。

 

2次的合併症予防はさまざまですが、

 

今回のケースでは、医師は心筋梗塞の合併症としての
心不全の予防を考えていたのかもしれません。

 

医師の考えを知っておこう!

心筋梗塞後の血行動態はどうか?

検査所見による評価
今回、医師はまず、心筋梗塞の術後経過を見ていました。

 

例えば広範囲な心筋梗塞であれば、血液データにおける心筋逸脱酵素は高値を示し、それに比例して心収縮は低下し、
血行動態も悪化するという関係性が成り立ちます。

 

しかしこの患者の場合、ST上昇型の急性心筋梗塞ではあるものの梗塞範囲は狭く、さらに早期に治療的介入が行えたこともあり、それほど重症ではないことが諸検査(血液データや心エコー所見など)によりわかっていました。

 

 

起床時の血圧に着目
医師はまた、「起床時の血圧値」であったことも考慮したと考えられます。

 

例えば、心収縮力の低下があれば安静時であろうと、
血圧を維持しようと心拍数を増加させる代償機能が働くはずです。しかしこの患者は心拍数も血圧も安定していました。

 

つまり、睡眠、安静により副交換神経が優位になっており、それに伴って血行動態も普段より低い、ある意味安定した状態と判断したのでしょう。

 

 

内服することのリスクとベネフィットは?
血行動態があまりにも不良(血圧が尿量を維持できないほどに低い、
ショック状態にあるなど)な場合、
医師はもちろん降圧薬の内服中止の指示を出すでしょう。

 

しかし、医師は治療方針を考えるとき、
薬の作用/副作用も考慮し、
患者にとって内服した方がいい(ベネフィットが確実にある)か、
悪いか(リスクの方が大きい)を十分に吟味していきます。

 

今回のケースで言えば、β遮断薬やACE阻害薬の
内服がどちらかの作用をもたらすかを、
ガイドラインのエビデンスなどを根拠に判断したと考えられます。

 

看護師にとってもまた、よりよい患者アウトカム結果)へと
つなげられるようなケアを提供していくために、
治療の背景や根拠を適切に理解することは重要な責務と言えるでしょう。

 

 

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